たちき「朝から針仕事なう」
シャール「針仕事って、ボタン付け?」
たちき「です」
シャール「たちき、ボタンとか付けられるんだ。へー、すごいね」
たちき「いやいやいや、感心することじゃないでしょ。これくらい誰でもできるでしょ」
シャール「そうなの?」
たちき「確か小学校の家庭科とかで習うんじゃなかったでしたっけ」
シャール「そうなの?」
たちき「多分ですけど。このお裁縫セットだって小学校でみんな買って、それからずっと使ってるやつですし」
シャール「時代を感じるお裁縫箱だね。そして相変わらず物持ちいいよね」
たちき「いやあ、それほどでも」
シャール「でもさ、純粋に一つ疑問なんだけどいい?」
たちき「なんです?」
シャール「なんでわざわざ朝起きてお出かけ前にボタン付けてるの? そのボタン取れたの今日じゃないよね。昨日のうちにしとけばよかったんじゃないかな? 一日中部屋から出ないで暇してたんだし」
たちき「………………」
シャール「あ、沈黙した」
たちき「さてここで、今日のたちき君ワンポイントアドバイスのコーナーです」
シャール「唐突になんか始まった!?」
たちき「今日はボタン付けについて」
シャール「ボタン付けのアドバイスって言っても、何かある?」
たちき「ボタンて、糸が切れたら外れちゃうじゃないですか」
シャール「それはそうだよね」
たちき「なので、今日は少しくらい糸が切れても平気なアドバイスです」
シャール「どういうこと?」
たちき「順番に話します。一般的なボタンは4つ穴があるじゃないですか」
シャール「あるね」
たちき「わかりやすく、左上を1、右上を2、左下を3、右下を4とします」
シャール「それで、1と4、2と3をぐるぐる結んでいって『×』の文字みたいに一本の糸で縫い付けるんでしょ? それくらいわかるよ」
たちき「そこです」
シャール「どこ?」
たちき「一本の糸、というとこに注目します。シャールの言った通り、普通は141414141414232323232323、最後に玉止めでボタンを付けるわけですが、これだと糸が切れたらほどけてボタンが取れてしまいます」
シャール「あ、たちきが何を言いたいかわかったかも。今の例えだと141414141414で玉止めして一度糸を切って、232323232323で玉止めして糸を切れば、片方の糸が切れてもボタンはすぐに取れないってこと?」
たちき「そうですが、それだと片方の糸が切れたあと、ボタンの糸が『×』にならなくて『/』になってしまいちょっと恥ずかしいです。ボタンの糸が切れかけとわかってしまいます。そこで僕からの提案は、上の例えだと1414玉止め、2323玉止め、1414玉止め、2323玉止め、1414玉止め、2323玉止め……というように複数本の糸を使ってボタンを付けるという方法です」
シャール「なるほど。それなら一本くらい糸が切れてもボタン外れないし見た目も変わらないんだ」
たちき「ちょっと手間はかかりますけど、実用性は抜群です。どうですか」
シャール「いいアイディアかも。ちょっと手間はかかりそうだけど」
たちき「オススメですので、皆様もぜひ試してみてくださいね」