シャールと自転車5

たちき「中学からは行動エリアがぐっと広がります。自転車であちこち走り回りました」
シャール「どのあたりまでですか」
たちき「たんぼや畑の中をあちこち……」
シャール「なぜたんぼや畑!?」
たちき「小学校が畑に囲まれてたんです。通学路にはたんぼ。中学校も似たような感じで、回りはたんぼでした」
シャール「街中まで自転車で行ったり……」
たちき「……あれ、そういうのって高校からだったかな」
シャール「また今日も自転車トークが広がらないんですけど」
たちき「待って待って。小学校時代よりは間違いなく自転車トークできるから。ネタあるから」
シャール「じゃあまずは、中学は自転車通学だったんですか?」
たちき「そうです。学校までの道のりが2キロ以内は徒歩で2キロ以上だと自転車が許可されます」
シャール「雨の日も雪の日も」
たちき「自転車ですね。三年間毎日自転車ですよ。いや、中学の初日とか、自転車通学の許可が出るまでは歩きだったかな」
シャール「遠い生徒さんは大変そうですね」
たちき「学校から許可が出たら、自転車にシールを貼ります」
シャール「学年ごとに色が違うんでしたっけ」
たちき「前の年のを剥がさないで段々に貼ってカラフルにしたりしてましたね」
シャール「中学はヘルメットでしたよね」
たちき「そうです。通学はもちろん、休日に自転車乗る時もヘルメットしないとダメで、ヘルメットをしない、いわゆるノーヘルと呼ばれる行為は禁止されてました」
シャール「ノーヘルで自転車に乗ったことはないんですか」
たちき「ないですね、中学の時は。前も言いましたけど、基本的にまじめなタイプなのでルールとか破れないんですよ。だから、髪型が崩れるから今日はヘルメットしない、なんていう女の子とは根本的に合わないし苦手です」
シャール「そんな女の子もいるんですね」
たちき「あとは、ルールを破るオレかっこいいみたいな思春期ノーヘル男子も苦手です」
シャール「それは結構いそうですけど」
たちき「今でいう陽キャ生徒でしょうか。彼ら彼女らとは合わないんですよ。自分は読書好きでまじめな大人しいインドア趣味のピュア少年だったので」
シャール「属性が盛られてますけど、ノーヘルしたことないのはわかりました」
たちき「といっても、面倒だからしなくて済むならヘルメットしたくなかったから、高校になってヘルメット義務がなくなったらしなかったですよ」
シャール「人と違うことが好きなたちきなら、高校でもあえて一人でヘルメット通学とか」
たちき「それは逆に目立ちすぎません? 目立つのは嫌いですよ。ひっそりと過ごすのが好きなのです」