シャールとお洋服4

シャール「ねえ、ほんとによかったの?」
たちき「なんのこと?」
シャール「とぼけなくてもわかってるんでしょ。昨日のあの服のこと」
たちき「あ〜、あれね」
シャール「たちきに似合うかは別として、一目であんなに惹かれた洋服、なかなかないでしょうに」
たちき「そうだね。正直、着る着ないは別にしても、手元に置いておきたい、部屋に飾っておきたいってくらい、第一印象は良かった。しかも値段もそこそこ手頃」
シャール「だったら……」
たちき「でもね。ほぼほぼ着ないとわかってる服を買うのもどうかなって、最近は思ってるから。シャールにもそれは伝えたことあるよね」
シャール「それは確かに聞いたけど。デザイン重視の服より実用性があって毎日着られる服が優先、でしょ」
たちき「そ。でもあの服は、日常的に着るのは無理。着るとしたら部屋着にするか、もしくはいっそ何かのコスプレと割り切ってイベントで着るか」
シャール「いいじゃない、それでも。あそこまで二次元寄りな服、なかなか手に入らないわよ。三次元では着づらくても、アニメやゲームのキャラが着てるような二次元っぽい服、前から欲しいって言ってたじゃない。ネット通販をしないたちきがああいう服を入手できる数少ないチャンスだったじゃない!」
たちき「言ったけど、チャンスだったけど、まさかあそこまでピンポイントに自分の理想の一つみたいな服を目の当たりにするとね。驚きすぎて逆に手が出なかったって感じ」
シャール「……もったいないわ」
たちき「わかってる。多分、次に行ってももう売り切れてるだろうし、同じものはもう二度と手に入らないだろうけど、これを機にお洋服との向き合い方を少し考えますよ」