シャールと自転車13

たちき「ではそろそろ大学時代の自転車トーク……に行く前に、僕が得意としていた自転車のテクニックをひとつ紹介します」
シャール「テクニック?」
たちき「自転車に乗る時、左足を左ペダルに乗せて右足で地面を蹴って、自転車の勢いを付けてから乗るじゃないですか」
シャール「そうですね。一般的な乗り方ですね」
たちき「それで、ある時ふと思ったんですよ。左ペダルに右足を乗せて左足で地面を蹴ってみるのはどうかなと」
シャール「(想像中)……それ、なんの意味があるんですか」
たちき「意味は特にないと思います。ほんとになんとなく試してみただけで」
シャール「バランスが難しくないですか」
たちき「自転車の左側に重心が偏るので、自転車を少し右に傾けながら乗るのがこつです」
シャール「コツと言われても。どんな場面で使うんですか。ただカッコつけたいだけじゃないですか」
たちき「なんとなく始めた乗り方ですが、結果的にキックボードに乗るように自転車を操ることができて、意外と使える場面もあるんですよ」
シャール「例えば?」
たちき「チェーンが外れた自転車をただ押してあるくだけじゃなくて、颯爽と乗れる。特に下り坂」
シャール「止まらなくないですか」
たちき「ブレーキのかけ方はちょっと注意が必要ですね。あとはスピード出しすぎなければ、ペダルからぴょんと地面に下りて両足の裏で足ブレーキです」
シャール「まあ多用しないほうがいいのはわかりました」
たちき「さて、では今度こそ自転車トーク大学編です」
シャール「大学は車で通ったんじゃなかったんですか?」
たちき「免許は大学一年の夏に取って、秋から車で通い始めたので、それまでは自転車ですよ」
シャール「大学まで結構ありますよね」
たちき「今思うと結構ありますよね。毎日あれを通っていたとか信じられません」
シャール「荷物は背負っていたんですか?」
たちき「前カゴにはあまり何も入れない派だったから多分。とは言ってもよく覚えてないんですが」
シャール「どのくらいかかったんですか?」
たちき「それもあんまり覚えてないんですよね。30分ちょっとで行けたのかな。でも待てよ、車で20分くらいはかかるはずだし……」
シャール「つまり覚えてないんですね」
たちき「朝は急いで最短ルートを行くんですけど、帰りはのんびりゆっくりだった気がします」
シャール「秋から車通学だったということは、冬の寒さと強風の中、自転車を漕いで大学に行ったことはないわけですね」
たちき「そうですね。考えただけできつそうですね。春の通学路は桜が綺麗だったのは覚えてます」