シャールとみんなのうた・小さな木の実

たちき「曲名の小さなきのみっていうのはなんなんでしょうね。どんぐりとかかな」
シャール「その前に一ついい? 曲名の読み方は『きのみ』じゃなくて『このみ』じゃなかった?」
たちき「え、そうでしたっけ」
シャール「うろ覚えは相変わらずだね」
たちき「えーっと、♪小さな手のひらにひとつ、古ぼけたこのみにぎりしめ……ほんとだ。『このみ』だ」
シャール「歌うと思い出せるよね、こういうの」
たちき「でも歌ってみて気づいたけど、全体的に悲しい曲なんですね」
シャール「みたいだね。少年がパパを思い出して懐かしむっていう内容だから……」
たちき「父親が亡くなったか、もしくはもう二度と会えないような何かがあったのか」
シャール「例えば?」
たちき「親の離婚とか」
シャール「ありえるけど、こういう歌にそういう現実的な解釈はないと思うよ」
たちき「徴兵とか」
シャール「なんでもっと重い解釈しちゃうの。もう少しマイルドな理由かもしれないでしょ」
たちき「罪を犯した父親が塀の向こうに……」
シャール「もういいよ。少年のパパがいない理由に触れなくていいから、たちきのこの歌への思い出を聞かせてよ」
たちき「まあ上に書いたのは冗談として、少年は父親不在について思っていたよりめげたりしてない、前向きに生きてるのかなってのは昔から思ってました」
シャール「どのあたりから?」
たちき「草原を駆けるあたりかな。やみくもに走ってるんじゃなくて父親を探したりしてるんじゃなくて、強く生きろっていう父親の言葉を背中に受けて走り出してる感じがするなって」
シャール「さっきまでとは違ってまともなこと言ってる」
たちき「僕はいつも真面目ですよ?」
シャール「はいはい」
たちき「ただ、坊やっていう単語からすると、少年はかなり小さいのかも。小学校入学前とか」
シャール「それでパパと離れちゃうのはつらいね。いくら強く生きるように言われてても……」
たちき「なんでみんなのうたにはこういうちょっと悲しげな歌が多いんでしょうね」
シャール「そんなことないと思うけど。たちきが紹介してる歌がたまたまそういうのばっかりなだけじゃない?」
たちき「まあ……そっか。天使の羽のマーチとか明るい歌も紹介したし、振り返るとそんなでもないか」
シャール「多分だけど、いろんな歌を紹介するのがコンセプトなんじゃないかな、みんなのうた
たちき「かもしれませんね。では明日は今日とは違うタイプの歌を……と思ったんですけど、それはあさってからにして、明日はあえて今日と同系統の曲でいきます」
シャール「秋の悲しげな歌ってこと?」
たちき「そんな感じです。『ちいさい秋みつけた』」
シャール「定番曲だね」