シャールとマレットゴルフ3

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シャール「ちょっと待ってください。わたし、聞いてませんけど」
たちき「あ〜、シャールを驚かせようと思って、シャールがお昼寝してる間に出かけてきました」
シャール「あの時ですか……。起こして連れてってくれてよかったんですけど?」
たちき「昨日は風が強かったから。シャール、風強い日は外に出たがらないし」
シャール「飛ばされちゃいますからね。しかたないからそういうことにしておいてあげます。それで、そんな強風の平日昼間、他にマレットゴルフしてる人いるんですか?」
たちき「昔友人達と行った時は日曜だったからなかなか混んでて、僕達は初心者四人でまったり打ってると後ろのホールから一人プレイの人がだんだん追い付いてくるから『お先にどうぞ』って次のホールを譲ったりしたんです」
シャール「混んでるなら譲り合いやマナーは大事ですよね」
たちき「という前フリからの、昨日はあんまり混んでないくらい……逆にいえばまあまあ人はいました」
シャール「意外ですね。ガラガラの貸し切りとかを想像してましたけど」
たちき「実は僕もそう思ってたんですけど、組でいえば7組くらい、一つ大人数の組もあったから30人くらいはいました」
シャール「年齢層は?」
たちき「マレットゴルフは大人から子供まで楽しめるスポーツですが、道具がゲートボールのスティックとボールというあたりから察してもらえると」
シャール「なるほど、わかりました」
たちき「とりあえず僕が一番年下だったとは言っておきます」
シャール「16歳ですしね。ちなみに写真のボールはもしかして」
たちき「僕がレンタルしたボールです」
シャール「当然のように緑ですね」
たちき「当然ですね」
シャール「スティックは?」
たちき「撮り忘れました。次回撮ってきます」
シャール「昨日の写真も昨日撮ったんですよね」
たちき「そうです。群馬県にある渋川市赤城敷島マレットゴルフ場というところです。はるばるかなり遠出ドライブをして行ってきました」
シャール「昔友人達と行ったのもそこなんですか?」
たちき「そうです。五年以上経ってるけど、まあ道はなんとなく覚えてるし……と下調べしないで走り出したのですが、なんとか無事に着きました」
シャール「無事……でした? 最初は全然違うとこを左折しようとしてやっぱりやめたあげく、通り過ぎたかもって一度引き返しかけて、でももう少し先まで行くかって行ったらほんとに行き過ぎて、知らない道を川沿いに曲がったらなんとなく着いたんですよね?」
たちき「……あの、シャールさん? なんで、まるで見ていたかのように昨日の僕の迷いっぷりをご存知なのです?」
シャール「いつわたしが、昨日お昼寝をしていたと言ったかしら」
たちき「さっき言いませんでした?」
シャール「たちきのコートのフードの中に隠れてたんです」
たちき「危ないからそれやめてよ。背もたれに寄り掛かった時にうっかり潰しかねないから」
シャール「それはさておきまして」
たちき「さておかれた」
シャール「昨日はだいぶズルをしてませんでした?」
たちき「……それはさておき」
シャール「さておきませんよ? 続きは明日追求しますからね」