シャールとピアノ

シャール「ピアノについて、ですか?」
たちき「最近音楽トーク少なめだったから、たまにはいいかなって」
シャール「たちきって、ピアノ弾けましたっけ」
たちき「弾けませんけど?」
シャール「小さい頃に習っていたけど今はもう弾けない、とかですか?」
たちき「習ってませんね」
シャール「……それでよくピアノトークをしようと思いましたね。何かきっかけでもあったんですか?」
たちき「昔から興味はあったんですよ、ピアノ。でも習う機会がなくて」
シャール「大人になってから習ってもいいんですよ? 大人向けのピアノ教室とかもあるじゃないですか」
たちき「少しだけ考えたことあるんですけど、諸々の事情でやめときました」
シャール「ではピアノの……いえ、鍵盤楽器の経験は? ピアニカくらいですか?」
たちき「そういうわけでもないんですが。楽譜にシャープとかフラットがたくさんあるような難しい曲は無理ですが、シャープ1つとかフラット1つくらいで音楽の教科書とかに載ってそうな曲のメロディーを弾くくらいならなんとか」
シャール「右手だけで、しかも単音の場合ですね」
たちき「もしくは、それプラス左手で和音(コード)を弾くくらいならなんとか」
シャール「例えば、何を弾けます?」
たちき「巣立ちの歌、とか。右手でメロディー、左手でコード。今は多分弾けないですけど、16歳のあの頃はよく練習してました」
シャール「卒業ソングですね。思ったより本格的な曲がきました。たちきが弾けるくらいだから、もっと簡単な曲かと思いましたけど」
たちき「さっきも書きましたけど、右手でメロディー左手でコードくらいなら、そんなに難しくないと思うんですよ。シャープとフラットが少なければ」
シャール「シャープとフラットは苦手ですか」
たちき「苦手です」
シャール「いつか聴いてみたい気もしますけど、たちきのピアノ演奏」
たちき「いやいやいや、それはないけど。そうだ、ピアノといえばもう一つ」
シャール「なんです?」
たちき「家から徒歩で行ける駅の構内にピアノがあるんです。誰でも弾いていいやつ」
シャール「最近そういうの増えてきましたね」
たちき「そうなんですよ。近所の別の駅にもいつの間にかピアノが置かれててびっくりしました。いつ置いたんだろう」
シャール「増えるピアノですね」
たちき「そういうホラーみたいな話じゃないから」