シャールとファンタジー18

たちき「『人形使い』です」
シャール「名前からすると、文字通り人形を使う能力に思えるけど、違うんだよな」
たちき「そうですね。ファンタジー人形使いといったら、傀儡(くぐつ)やゴーレムなど、ほんとに人形を操る能力が思い浮かぶと思いますが、ウィザーズ・ブレインでは違います。無生物に仮想意識を送り込んで生物化する能力です」
シャール「作中では、よく床や壁から手が生えてきたりしてたな」
たちき「想像するとちょっと不気味ですよね。他にも、壁に穴を開けたり戦艦に乗り込む時に使われたりしてます。あとは地面に落ちる時にクッション替わりにして衝撃をやわらげたり」
シャール「ファンタジーでこの能力を使うとしたら、どんな属性だと思う?」
たちき「難しいですね。地面に穴を空けるとかなら土属性でいけそうですけど、壁とか建物とかだと……」
シャール「物体に精霊を宿らせるとかならアリじゃないか」
たちき「なるほど。それなら仮想意識を送り込むのと似たような感じかもしれませんね」
シャール「作者さんの『人形使い』という名付けのセンスがいいよな」
たちき「そうですか? 最初は送り込んだ仮想意識が手とか腕とかの形になるから人形使いっていうのもなんとなくわかったんですけど、途中から出てきた螺子(ねじ)のほうが操作が難しいってあたりがいまいち理解できなくて。個人的にはちょっと微妙な能力です」
シャール「じゃあ次の能力は?」
たちき「『騎士』ですね」
シャール「『魔法士』なのに『騎士』とはこれいかに」
たちき「何を言ってるんですか。シャールも一通り読んでるんですよね、ウィザーズ・ブレイン
シャール「だが普通のファンタジーなら魔法使いと騎士とは正反対の職業だろう。かたや前衛、かたや後衛だぞ」
たちき「ウィザーズ・ブレインでは、魔法士のうちの一つが騎士です。能力は身体能力制御。つまり、自身の体の中をコントロールする能力ですね」
シャール「筋力増加や反応速度、神経の伝達速度を速めたりできるんだったな」
たちき「通常より五倍くらい早く動けるだけでもだいぶ有利だと思いますけど、作中では最大60倍で動ける騎士も登場します。さらに、騎士が使う騎士剣と呼ばれる外部デバイスを使うことで、対象を原子レベルに分解する情報解体という能力も使えます」
シャール「普通に考えると、それは最強にして最恐の能力じゃないか? なんでも分解できるんだろう」
たちき「なんでもはできません。物に対しては有効ですが、人間などには効果が薄い……と書かれてますが、情報解体をくらった某キャラの右腕は血まみれになってましたね」
シャール「ほらやっぱり」
たちき「さらに一部の高レベル騎士になると瞬間移動ができたり空を飛べたりするので、書けば書くほど騎士最強説が高まりそうですね。先ほど書いた騎士剣はもちろん近接攻撃としても使うので、対魔法士戦においては一番強い、みたいなことが書いてあったはずです」
シャール「ファンタジーの世界でこの能力を使うとしたら、どうなる?」
たちき「剣を使う職業といえば前衛の戦士や剣士ですけど、通常人の数倍から数十倍の速度で動ける能力って……ピオリムみたいな魔法をめっちゃ重ね掛けするとか、瞬間移動は時魔法とか。物質を原子分解する能力は……ファンタジーだと結構タブー的な能力として登場するんじゃないですか」
シャール「そこまでの能力を備えた、ウィザーズ・ブレインの『騎士』って、やっぱり結構反則気味な能力なんじゃないのか?」