シャールと自転車23

シャール「他に何かありますか、おとといの自転車初乗りエピソード」
たちき「えっとね……あ、じゃあギアについて。自転車にはギアとか変速機と呼ばれる機能が付いてるのは知ってますか」
シャール「それくらい知ってます。自転車買うときにも、店頭POPに3段変速とか6段変速とか書いてありましたよね」
たちき「僕の買った自転車は7段変速なんです」
シャール「汎用性あっていいですね。坂道もすいすい漕げそうです」
たちき「といっても、普段はギアを変えることはあんまりないんですけどね。中高生の頃乗っていた二台目自転車は3段変速でしたけど基本ずっと2速で、きつい坂道だけ1速にするくらいで。3速とかめったに使わなかったですし」
シャール「そういうものですか。そのあとの三台目はどうでしたか?」
たちき「普段は3速で、きつい坂道だけ2速とか。1速や6速は使った覚えがないです」
シャール「それだと、せっかくの7段変速も活躍の場面はなさそうですね。話の流れからすると、おとといもギアを変えなかったってことですか」
たちき「そうです。買った時からギアをいじってないで走り出したのですが」
シャール「買った時は、何速になってたんですか? 無難に3速か、7段変速の真ん中の4速あたりですか」
たちき「実は、最初は乗るのに夢中でギアとかまったく意識してなくて、走り出して数十分くらいしてから『そういえばギアってどうやって変えるんだろう。ていうか今は何速なんだろう』って、信号待ちの時に後輪を見たらなんと……」
シャール「なんと?」
たちき「1速でした!」
シャール「え、一番軽いんですよね。途中までずっとそれで走ってたんですか。というか気付かなかったんですか」
たちき「乗ることに一生懸命で、ギアとか全然頭になかったんです。でもまさか1速とは思わなかったですけどね」
シャール「じゃあ気づいてからはギアを上げて、2速とか3速にしたんですか」
たちき「…………」
シャール「なんで顔を背けたんです?」
たちき「……ギアの変え方がわからなくて、おとといは結局ずっと1速で走りました」
シャール「7段変速の意味ないじゃないですか! ギアなんて右手の指でカチカチ変えるだけじゃないんですか?」
たちき「昔乗っていたのはそうでしたけど、時代と共に自転車のギアも進化、そして変化したようで。多分、これを回せばギア変えられるだろうなっていう部分はあったんですけど、どうなるかわからないからやめておきました」
シャール「説明書とかないんですか?」
たちき「ありますよ。買った時のレシートとか防犯登録書いた紙と一緒にしまってあります。読んでませんけど」
シャール「しまう前に一度読みましょうよ」
たちき「次に自転車乗る時は、説明書見てからにします」