シャールと自転車12

シャール「他に高校時代の自転車に関する思い出はありますか」
たちき「では、小学校時代の自転車トークにも登場したAという女の子との思い出について」
シャール「約二週間前の記事ですね。確か、中学校卒業以来会ってないって言ってませんでしたっけ」
たちき「その子は小学校卒業以降、うちの近所に引っ越してきたんですよ」
シャール「運命的ですね。ではそこから仲良くなったんですか」
たちき「小学校時代は互いに一番仲のいい異性でしたけど、中学校では一度も同じクラスにならなくてそれっきりで……」
シャール「高校も別なんでしたよね」
たちき「僕は男子校、その子は女子校でした。しかしとある日の帰り道、その子が歩いてる後ろ姿を見かけます」
シャール「きましたね、熱い展開です」
たちき「僕は自転車だったから簡単に追いついて声をかけることができたわけで……」
シャール「どきどき」
たちき「でもシャイでピュアな僕は声をかけることができなくて、かといってその子の横を自転車で通り抜けるのもなんか恥ずかしくて、結局道を変えて迂回して帰りました」
シャール「…………続きは?」
たちき「ありません。この話はこれで終わりです」
シャール「物語が始まらないんですけど!?」
たちき「いやまあ、今の自分ならあれこれ行動できると思うんですよ? 久しぶりAちゃん、て声をかけるとか、自転車で追い越してちょっと先で待ってみるとか」
シャール「なんでそうしなかったんですか。そんな浅い関係だったんですか」
たちき「浅いというか……別に深い関係ではないですが。ただ単に小学校6年間同じクラスだっただけです。ちなみにその子と僕だけ。いや、もう一人か二人いたかな?」
シャール「充分深い関係じゃないですか。幼なじみみたいなものじゃないですか。え、自転車トークから話は逸れますけど、今、その子は何をしてるんですか。会えないんですか」
たちき「会えないというか、その子の本名を検索したら東京の某会社に勤めてるようですね。連名ですが本も書いてたり、おそらく別の会社の講師(?)をしたり留学してお勉強したりと、いろいろ頑張っているようです」
シャール「同姓同名の別人ではなく?」
たちき「写真も検索でひっかかったから本人ですね。手の届かないとこに行ってしまったようです。ちなみに検索でその子の仕事用(?)メールアドレスも見つかったりフェイスブックアカウントもあったのですが……」
シャール「どうせ連絡取ったりはしてないんですよね」
たちき「してないですね。なんて書いていいかわからないですし」
シャール「さっき書いた通り、久しぶりAちゃん、byたちき でいいじゃないですか」
たちき「そんな内容でメールしたら、どう見ても迷惑メールですよね」
シャール「むむ……」