シャールとボウリング15

たちき「って言われても、僕たち3人ともなんのことかわからずに受付でぽかーんとしていたら、店員さんがあらためてアメリカン方式について教えてくれたんです」
シャール「もったいぶらないで早く教えてよ」
たちき「簡単に言うと、3人で2レーン使って投げます。A・B・Cの3人で投げるとして、A・Bは1番レーンで、Cは2番レーンでまずは名前を登録します」
シャール「それじゃ結局、Cが1人で投げることになるんじゃない?」
たちき「違うんです。実は1&2番レーンが連動してるのはボールが戻ってくるところだけじゃなくて、投球順も連動させることができるんです」
シャール「どういうこと?」
たちき「1番レーンはA・Bの二人がいて、2番レーンにはCが一人なのですが、ボウリングマナー的には右レーン優先なので、まずはCが2番レーンで1フレーム目を投げます。次はAが1番レーンで1フレーム目を投げます」
シャール「まあそうよね。で、次はBが1番レーンで投げるのね」
たちき「そこまではいいとして、その次です。2番レーンで1フレーム目を投げ終えたCは、1番レーンに並んで、Bの次に投げます」
シャール「え?」
たちき「Cは2フレーム目を1番レーンで投げるんです」
シャール「ちょ、ちょっと待ってよ。てことは1番レーンで1フレーム目を投げたAは……」
たちき「2番レーンに移動して、2フレーム目を投げます。Bの2フレーム目ももちろん2番レーン。そしてCの3フレーム目も2番レーンです」
シャール「……2つのレーンで交互に投げてくってこと?」
たちき「理解が早いですね。そうです。これなら、2レーンで2・1に分かれて投げるよりも早く、かつ平等な時間で3人投げられます」
シャール「慣れないとどっちで投げるのかわからなくなりそう」
たちき「そんなことないです。ボウリング場の各レーンの天井モニターにスコアが出るじゃないですか」
シャール「あるわね、モニター」
たちき「あそこの各プレイヤーの名前欄に『たちき→』『たちき←』みたいに、次に左右どっちのレーンで投げるか矢印が表示されます」
シャール「親切設計!」
たちき「ちなみに、普通に投げるのはヨーロピアンというらしいですが、受付でそんなこと言う必要ありません。アメリカン方式でやりたい時は、受付でアメリカンで、と申し込む必要があります」
シャール「ボウリング場で、たまに一人で2レーン使ってる人がいるけど……」
たちき「いますね。あれもアメリカンで投げてます」
シャール「何か意味あるの?」
たちき「僕の推測でよければ」シャール「聞かせてみて」
たちき「多分、大会を想定してるんだと思います。ボウリングの大会も、基本的にはアメリカンが一般的のようです」
シャール「なんで?」
たちき「レーンてどうしても偏りや相性があるんですよ。オイルというかレーンコンディションというか。だから、一度にたくさんの人数で投げるリーグ戦もタイマンで戦っていくトーナメント戦も、なるべく平等な条件で競うためには……」
シャール「そっか。一人1レーンとか1チーム1レーンで投げ合うより、アメリカンでお互い2レーン使って投げたほうが条件が平等なんだ」
たちき「ただ、お店が混んでる時にアメリカンやるかどうかは受付で店員さんに相談してください。土日休日とか」
シャール「そうね。混んでる時に1人で2レーン使うのはちょっとマナー違反な感じよね」
たちき「平日昼間とか、ガラガラならアメリカンでも問題ないと思いますけどね。混んでる時でも大人数でしかも奇数なら、アメリカンのほうが効率よさ気かなって店員さんも配慮してくれるかもですけど」
シャール「アメリカンね。覚えておくわ」