シャールとボウリング6

たちき「さらに、部長が200以上のスコアを出したら会長に格上げされます」
シャール「役職に意味はないんでしょ?」
たちき「まあそうなんですけどね。余談ですけど、うちの麻雀メンバーのルールでは一日打って終了時にトータル100を超えたら部長交代です」
シャール「ボウリング同じシステムなのね。ところでボウリングは誰かに教わったりはしなかったの?」
たちき「そういえばそういうのなかったですね。みんな我流でした。……あ、そうでもないか。一つ教材を思い出しました」
シャール「教材?」
たちき「16歳の頃に見てたテレビ、NHKの趣味悠々で、目指せ200点! スポーツボウリングの世界っていうのをやってて、初めてNHKの宅配通販を利用しました」
シャール「教材っていうか、DVD?」
たちき「いや、映像はリアルタイムで視聴してたんで、通販したのは本です。といってもやはり投球動作とか動きを見ないと伝わらないこともあるから、あの番組は参考になりましたね」
シャール「何か覚えてることある?」
たちき「投球のタイミングの取り方は、4歩だと『タンタタターン』なんですよ」
シャール「わかんないよ」
たちき「『タン・タ・タ・ターン』です」
シャール「文字じゃ伝わらないよ! もう少しわかりやすく説明して」
たちき「文章だけだと難しいな。えっと、右投げの場合。まず右手にボールを持って左手でボール支えて構えます」
シャール「それはなんとなくわかる」
たちき「『タン・タ・タ・ターン』の最初のタンで、右足を踏み出しつつボールを押し出すように前へ」
シャール「ふむ」
たちき「『タン・タ・タ・ターン』のタ・タで左足・右足と出しつつ、ボールは重力に任せて右腕を振り子のようにして体の右側を通過させて後ろへ」
シャール「ふむふむ」
たちき「『タン・タ・タ・ターン』のターンで、左足を踏み込んで滑らせながら、右腕を振り抜いてボールを解き放ちます」
シャール「ふむふむふむ……」
たちき「伝わりました?」
シャール「なんとなくはわかったけど、やっぱり動きがないとわかりづらい」
たちき「こんな感じ。タン・タ・タ・ターン(←エア投球動作)」
シャール「それ、動画に撮ってアップしようか」
たちき「しません。あとは、スパットを覚えると上達が早いかと」
シャール「スパット? ゴール前でスピード上げるの?」
たちき「それはスパート」
シャール「レギンスの古い言い方?」
たちき「それスパッツ。じゃなくてスパットですよ。知りませんか?」
シャール「わからないから、たちきがどうしてもって言うなら聞いてあげるわ」
たちき「なぜツンデレ風なんですか。えっと、スパットというのはファウルラインの少し先にある7つの三角マークのことです」
シャール「そういえばそんなマークがあったかも。真ん中を先頭にした……そう、魚鱗の陣みたいなやつ」
たちき「その例えがわかんないよ」
シャール「じゃあ鶴翼の陣を逆にしたような……」
たちき「陣形の例えはいいから! わかったようだけど、あれがスパットです」
シャール「わかった、あれを目印にして球を投げるんだ!」
たちき「正解です」