シャールとTRPG14

シャール「TRPGを引退? まじ?」
たちき「……すみません、少し話を盛りました。引退はさすがに冗談です」
シャール「びっくりしたじゃない。でも確かにトラウマになりそうな事件だったわね」
たちき「しょんぼりです」
シャール「主にたちきのせいだけど」
たちき「すみません、まじでごめんなさいです。仲間メンバーからも、何やってんだよおい、という視線を感じつつ、まあまあ気にするなよと言ってもらって救われました」
シャール「やり直しはしなかったの?」
たちき「一応ゲームマスターに、ちょ、待って! 今のは違……って言おうとしたけど、さすがに覆らず」
シャール「まあそうよね。それなら、書けばよかったんじゃない? トゥルールートの物語を」
たちき「あー、リプレイを自分で書く。しかもリプレイじゃなくて終わらせ方は理想の物語にする」
シャール「あれだけ内容覚えてるなら、リプレイじゃなくていっそ小説を書くのもありだったんじゃない?」
たちき「その手がありましたか。当時そこまで考えなかったけど、今の自分がもしTRPGやったら、自分のプレイしたゲームはノベライズ化したいかもです」
シャール「まあ、いい経験にはなったんじゃない?」
たちき「TRPGは一期一会、というのを学びました」
シャール「なによ、その名言みたいなのは」
たちき「名言といえば、友人がTRPG会場で言ったセリフも覚えてますよ」
シャール「どんなセリフ?」
たちき「『ときめき天羅には負けません!』」
シャール「どういうこと?」
たちき「友人は番長学園ゲームマスターをやろうとしてたんですけど、内容が恋愛ものの予定で。その当時天羅万象っていうロールプレイ重視のTRPGが人気出始めてて、会場でも恋愛をテーマにした通称ときめき天羅のテーブルが大人気で」
シャール「なるほど。友人はそれに対抗して番長学園で恋愛ロールプレイ重視のゲームをやろうとしたのね」
たちき「ときめき天羅に対して、熱愛番長だったかそんな感じの名前でアピールしてました」
シャール「たちきは参加しなかったの?」
たちき「ロールプレイ重視のTRPGは自分に向いてないかなと」
シャール「前回の失敗を糧に、チャレンジしてみたらよかったのに」
たちき「プレイヤーはみんな男性ですよ?」
シャール「女性キャラを愛でるのよ。ていうか女性プレイヤーがいる恋愛TRPGのほうがむしろ難易度高くない?」
たちき「……確かに。男性プレイヤーだけのほうが恋愛TRPGも気楽かも」
シャール「そして芽生えるプレイヤー同士の……」
たちき「それはないから」