シャールとTRPG12

シャール「で、TRPGから始まる出会いと恋愛のお話は?」
たちき「だからないですってば」
シャール「おとといの記事で『紅きらめく恋しらべ』(仮)さん達が主催してるイベントで、ニアミスがあったって言ってたじゃん」
たちき「名前を忘れたとはいえ、主催者さん達の名前が全然違くないですか?」
シャール「私に聞かれても知らないわよ。それっぽい仮名にしてみただけ。それより私はTRPGから始まるオタク彼女の作りかたを聞きたいの」
たちき「そんな、最近のラノベタイトルみたいな展開はないですから。ただ単に、隣のテーブルに中学の時のクラスメイトの女の子がいただけです。先に言っておきますけど、ただのクラスメイトだったのでTRPG会場でも特に何も喋らなかったです」
シャール「ひとことも?」
たちき「そういえば挨拶すらした覚えもなく……今思うとそれくらいはしたほうがよかったですよね」
シャール「なーんだ。ほんとにただの元クラスメイトで、それ以上進展はなかったんだ」
たちき「だから言ったじゃないですか」
シャール「じゃあ他にTRPGイベントでの思い出話はないの?」
たちき「プレイしたゲームで悲しい結果になってしまったことがあります。今でもやり直したいと思ってます」
シャール「なにがあったのよ」
たちき「なんのゲームかさっぱり覚えてないんですけど、この際そこはスルーします。シナリオの最後で、僕の選んだ選択肢のせいで……(泣)」
シャール「全滅エンドとか?」
たちき「そこまでひどくないかな。ただ……NPCの女の子を救えなかった。助けられなかった。あの子の笑顔が、もう二度と見れなくなっちゃって……(泣)」
シャール「生贄エンド?」
たちき「もう少しマイルドです……多分。簡単にあらすじを説明すると、『月』属性の魔術師の主人公、クレス・ルナセントは三人の仲間と供に旅をしていて、途中でとある魔術師からダンジョンに潜って古代の遺物を探して欲しいと依頼され……」
シャール「またギルドを通さない怪しい依頼ね」
たちき「話の腰を折らないで! ……えっと、数々の罠をくぐり抜けてたどり着いた部屋にあったのは、可愛い女の子の姿をした人形(ひとがた)で、僕たちが近づいたら起動して、喋れないこと以外は普通の女の子で……」
シャール「ファンタジーでたまに見かける設定ね。むしろSF?」
たちき「ここまではね。その子を連れ帰ったものの、主人公ていうか僕のキャラに懐いてしまった女の子を依頼者に渡していいのかメンバー内で話し合い、連絡を取ったらしばらく預かっていてくれと言われ、これは怪しいと全員で依頼者を尾行して……」
シャール「たちきのキャラが主役なの?」
たちき「取った技能のせいでゲームマスターから主役認定され、僕のキャラを中心に話が回り出しました。……長くなりそうだから、続きは明日でいい?」
シャール「いやいや、ここでお預けはひどくない!?」