シャールと徒歩帰宅

シャール「そもそも、なんで歩いて帰ろうなんて思ったのよ」
たちき「あれは、そう……あの日の僕は、電車に乗る気が起きないくらい心が乱れてて、敷かれたレールの上を走るっていうのが」
シャール「あ、そういうのいいから。簡潔にお願い」
たちき「最後まで言わせてよ!?」
シャール「だってどうせ作り話でしょ、それ」
たちき「そうだけど。話し始めの雰囲気って大事じゃん? 導入って重要じゃん?」
シャール「で、きっかけは?」
たちき「……よく覚えてないんだよね」
シャール「地震の時が初めてってわけじゃないんだよね?」
たちき「違います。電車通勤始めてだいぶ経った頃、歩いたらどのくらいかかるんだろうなってなんとなく思って」
シャール「実際にやってみたと」
たちき「です」
シャール「今日は約100分てあったけど、初めての時はもっとかかったの?」
たちき「いや、初めての時は一つ目の駅までで挫折して、そこから電車に乗りました」
シャール「はあ? 全然歩いてないじゃない」
たちき「普段歩かない人間が久しぶりに歩いたら、確か45分くらいで限界が来たんです」
シャール「日頃の運動の大事さがわかるわね」
たちき「まったくです。で、数ヶ月後、二回目のチャレンジで……」
シャール「いや数ヶ月後って。翌日とか翌週ですらないんだ、二回目。で、今度こそ歩けたの?」
たちき「二つ目の駅まで頑張ったけど、そこであきらめて電車に乗りました」
シャール「日頃の運動の(以下略)」
たちき「ちなみに歩いてる時は、デジタルオーディオプレイヤーでお気に入りの音楽を聴きながらまったり歩いてます。安全のため、イヤホンは片耳のみで」
シャール「それはいいけど、結局いつになったら歩ききった話になるのよ」
たちき「続きは明日に」