シャールとたちきの緑物語8

シャール「緑グッズって言っても、そんなにたくさん持ってる?」
たちき「あ〜、そう言われると……ちょっと待って、順番に思い出すから。えっとね……」
シャール「昔は紫とか白が好きだったってことは」
たちき「そうだ。中学校から大学くらいまで乗っていた自転車は紫でしたね。あの紫はよかった」
シャール「いきなり紫から語られても」
たちき「子供の頃はお洋服とかあんまり興味なかったし、おこづかいも漫画とか小説にしか使わなかったから、自分で意図して緑色を買ったり集め始めたりしたのは、やっぱり大人になってからなのかな。つまりごく最近ですね」
シャール「いやまあ、別にいいけど」
たちき「まずは携帯電話かな。東芝W21T。あれは今でも忘れられないです」
シャール「色が?」
たちき「色も見た目も機能も、何より色の名前も」
シャール「色の名前って?」
たちき「ずばり、ブリーズグリーンですよ。そよ風の緑ですよ。もう僕にぴったりっていうか、僕のための携帯電話じゃないかと」
シャール「なるほど。風で緑なら、確かにここまでの話の通り、たちき好みなのはわかるけど」
たちき「商品紹介で見るより実物はもっとメタリックな緑でかっこいいんですよ。余談ですが、他の色はサンライズイエローとライトニングシルバー。朝陽と稲妻です。ファンタジー心くすぐられます」
シャール「色だけじゃなくて機能も気に入ったの?」
たちき「その前の携帯電話も東芝製だったから、次も東芝で探していて、当時の流行りだったサブディスプレイがかっこよかったんです。ちなみにまだ部屋の隅で眠ってます」
シャール「相変わらず何かを捨てるのが苦手なんだね」