シャールと佰物語・席替え

たちき「席替えには一つエピソードがあるんだけどさ。長くなるかもだけど語っていいかな」
シャール「あら珍しい。たちきから言い出すなんて。いいわよ、聞こうじゃない」
たちき「まず前提として、席替えっていうのをどれくらいの頻度でやるかなんだけど」
シャール「そう言われると……どうなの?」
たちき「うちの小学校中学校の場合は、日直が一巡したら、かな。たいてい隣り合った男子女子二人一組で日直やるから、三十数人のクラスなら約四週間、つまりだいたい一ヶ月弱で席替えするから、一年で10回くらいは席替えがある」
シャール「なるほど。結構あるのね」
たちき「だから、隣が同じ女の子になる確率も低いわけじゃないけどそんなに高いわけじゃなくて。なのに中三の時に、クラスのすごい可愛い女の子と二連続でお隣りになって」
シャール「そのまま付き合ったと」
たちき「なわけないでしょ。中三の頃なんて、恋人がいるのは一部のリア充だけだよ。僕は物静かな文学派だったんだから」
シャール「それはさておき、エピソードはそれだけ?」
たちき「いや、まだ続きが。二連続でお隣りになったあともなんやかんやクジ運があったのか、一年で四回かもしかしたら五回くらいお隣りになった」
シャール「そこまでくるとなかなか運命的な確率じゃない。やっぱりお付き合いに発展……」
たちき「しなかったよ。その子には彼氏いたし。ちなみにその子は、一週間前の『髪型』で話題にした女の子なんだけどさ。髪の色もだけど、眼鏡も耳にかけるとこがピンクだったり、オシャレな子だった。私服姿は見たことないけど。僕みたいな引きこもり予備軍にも普通に接してくれるいい子でした」
シャール「ベタ褒めね。ていうかべた惚れ?」
たちき「うーん、難しいとこかな。当時の僕は一応他に好きな子もいたし、彼氏のいる女の子は対象外だったし、そもそも僕が付き合えるような子じゃなかったから、惚れてるとかじゃなかったかも。向こうも僕のことは普通のクラスメイトTくらいにしか思ってなかっただろうし」
シャール「ただ単に、何回も隣になれて嬉しかったっていうエピソードなわけ?」
たちき「まあそうなんだけど、あと一つ印象深いエピソードがあって」
シャール「もったいぶらずに言いなさいよ。それともいつもみたいにごまかして逃げるの?」
たちき「家庭科の授業だったと思うんだけど」
シャール「あ、今回は言うんだ」
たちき「服を作るのに袖っていうか腕の長さをメジャーで測るんだけどさ。自分じゃ測れないから友達同士とかで測るよね」
シャール「それに、多分だけど同性でやるんじゃない? まさかだけどその子の肩から肘、肘から手首までを測ったっていう話に……」
たちき「そのまさかなんだけど」
シャール「え〜、それってセクハラ……ってほどじゃないにしてもどうなの。たちきから『測ろうか』っていったの?」
たちき「いや、先生の説明があったあとその子が『じゃあ、はい』って言って右腕をこっちに伸ばしてきた。内心、えっ、て思ったけど、ちゃんと測りましたよ」
シャール「ドキドキね」
たちき「ドキドキだったよまじで。すべすべだったし。しかもクラス内にその子の彼氏もいるから。その様子を見られてたかはわからないけど」
シャール「あとで校舎裏に呼び出されたり」
たちき「なかったけど。まあ、そういうわけでその子にはなんとも思われてなかったんだろうけど、席替えで何回も隣になれてドキドキエピソードもあって嬉しかったっていうお話です」
シャール「他の学年の時は?」
たちき「ないこともないけど、さすがに今日は語りすぎたので以下略で」