シャールと佰物語・春休み

シャール「学年の変わり目だから、宿題がないんでしょ? 夏休みより冬休みより、一番楽しい休みなんじゃない?」
たちき「まあ普通に考えればそうだよね。小学校や中学校なら確かにそうかもしれない」
シャール「何か違うの?」
たちき「そんなシャールさんに、一つ怖い話をしましょう」
シャール「何よいきなり」
たちき「これは、とある高校の話なんですが、そこは県有数の進学校で。そこではなんと、入学前の春休みに、数学の教科書の第一章数十ページをやってくるという宿題があるらしいのです」
シャール「はぁ? 独学で数十ページを勉強してこいってこと?」
たちき「らしいです。さすが進学校はやることが違いますね。まあそれくらいできないと合格できないんでしょうけど」
シャール「すごいとこもあるのね。でもそんな飛び抜けた話じゃなくて、もう少し普通な春休みエピソードはないの?」
たちき「……あれは、そう。小学校六年の春休み、入学式前日のことだった」
シャール「え、いやちょっと待って。その話長くなる? 手短でいいんだけど」
たちき「簡単にいうと、入学式前日に六年生が集められて入学式の準備をするんだけど、僕と友達の二人はだいぶ早く学校に到着しちゃって、みんなが来るまで暇だったから校庭の満開の桜の花から風に吹かれてひらひら舞い落ちる花びらを何枚つかめるかを勝負したんです」
シャール「子供じゃないんだから」
たちき「子供の頃の話だってば!」